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沢木耕太郎講演会「旅する力」

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早稲田大学の学園祭で沢木耕太郎さんの講演会「旅する力」があったので行ってきました。

http://www.geocities.jp/sawaki_srk/
早稲田大学の世界旅行研究会主催ですが、沢木さんを呼ぶなんてさすが!

1時間弱前に会場に到着したのですが、すでに行列ができていて順番は200番目くらい。
端の方ですが前から4番目の席に座れました。
700名まで入れる講堂でしたが、立ち見もたくさん出てきました。

私は沢木さんの著作は、たぶん6~7割位は読んでいると思います。
(最近はあまり読んでいませんが・・・)

映像などは使わず、トークだけの講演でしたが、さすがは沢木さん。
2時間退屈することなく聞き入りました。

学際での講演ということもあるでしょうが、若いうちに旅をすることの大切さを繰り返し説かれていました。
若い頃(学生時代)あまり旅をしなかったことを後悔している身としては、「面白かった」とだけ言えないところもありましたが……
逆に言うと、学生でこの話を聞いていた人は幸せだなと思いました。

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以下、講演の要約(と言ってもかなり長いです)。

******************************

・最近はテレビを見なくなり、時代との開きを感じるようになった。若い女優さんの区別もつかなくなってきている。
・雑誌で映画評を書いているので、映画は半ば強制的に見ている。それが、流行というか、今動いているものとの接点になっている。
・最近『イントゥーザワールド』を見て、ある映画を思い出した。それは『モーターサイクルダイアリーズ』だ。実は、撮影したカメラマンが同じだった。
・『イントゥーザワールド』は、22才の恵まれている若者が、全てを捨てて旅に出て、最後にアラスカで餓死するというストーリ。優秀で裕福な若者が旅に出て、何かを学んでいくという点では2つの作品は同じだが、結末は対照的。一方は旅から戻ることなく餓死し、一方は旅から戻って革命家になった。
・キューバで伝説のボクサーのステベンソンを取材したとき、安ホテルに泊められたが、そのホテルに偶然カストロが視察に来た。カストロと会話して記念写真を撮るという、貴重な機会を得ることができた。10年前のことだったが、カストロはすでに老いていた。しかし、ゲバラはいまだに若いまま生き続けている。長く生きることが必ずしもよいことではないと思う。
・ゲバラが死んだのは、39歳。志半ばの死だったと思う。2つの作品の主人公は、旅によって何かが変わり、志半ばで命を失ったという点では同じだと思う。
・若い時の旅は、危険と隣合わせだ。若い時には経験もなければ、お金もない。そのために、いろいろなところで摩擦が生じる。しかし、それが逆に旅を深く、濃くさせる要素となる。もちろん、そこでの経験を咀嚼できる程度の経験は身についている必要はあるが。

・作家の山口瞳氏と飲んだ時に、紀行文を書くときの秘訣・要諦を聞いてみたら
 ①目的地までの前置きを長く書け
 ②現地では毎日同じ店に行け
 ③良い相棒を見つけろ
 という3つを挙げられた。
・しかし、私は③に関しては違った意見を持っている。たしかに、相棒がいると孤独を感じないですむし、相手が別の視点を教えてくれたりするというメリットもある。会話文を書くだけで文章が出来上がる。『奥の細道』の曽良、『阿房列車』(内田百)のヒマラヤ山系など、確かに相棒が重要な役割を果たしている。
・数名でアンダルシアを車で旅したとき、とても面白かったけど、「面白かった」という印象だけしか残っていない。むしろ相棒がいない方が、旅は深く、濃くなると思う。

・クリスマスの時期に毎年ラジオ番組を担当しているが30歳の女性からの投書メールに「自分はアルバイトをして、お金が貯まるたびに旅に出ていた。それを繰り返すうちに歳を重ねて、普通に会社に勤めることができなくなった。旅は歳をとってからでもできるから、自分と同じ間違いを繰り返さないでほしい」というのがあった。
・彼女の言うことももっともだとは思うが、若い時の旅と、歳をとってからの旅は、同じことをやっても異なると思う。
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・中田英寿と会ったとき「海外で成功する選手の条件は何か?」と聞いたら、「日本に帰ろうと思っていないことだ」と答えた。彼は引退後に日本に戻ることなく、世界を旅している。
・彼に対して批判的なことを言う人もいるし、確かに彼の商売としてやっている部分もあるが、彼は旅によって何かが変わるはずだと思う。最近は旅に出る人に対して「どうせ自分探しだろう」という人も多く、旅に対する風当たりが強くなっている。
・しかし、旅をする人なら、旅で「自分が見つかる」なんて思ってないだろう。言えることは「旅は人を変化させる」ということだ。

・ドラマ化された『深夜特急』は見ていなかったが、大沢たかおと対談する際にはじめて見た。見ていて面白かったのは、大沢たかおが旅の途中で変化していったことだ。
・ちょうど『電波少年』の猿岩石の旅が放映されていた頃だった。彼らの旅を最初は面白く見ていたが、最後でおかしいと思った。
・猿岩石がフランスからイギリスに渡るとき、陸路のヒッチハイクと同じようにカップルに声をかけてフェリー代を出してもらうが、現実には見ず知らずの東洋人にフェリー代まで出してくれる人はいないし、お金も帰りのチケットもない彼らが厳しいイギリスの入出国管理を通れるはずがない。
・それを見たとき、「ああ、彼らはこの旅を仕事でやっているんだ」と思った。私は彼らはその旅では変わらなかったのではないかと思う。
・大沢たかおは、当時はトレンディードラマの仕事が大半で、このまま行っていいのか、と悩んでいた。『深夜特急』に出ることで、そちらの仕事はなくなるが、逆に彼の世界も広がる。実際に、彼はその旅をすることで変わったと思う。

・「旅先で見知らぬ人に声をかけられたらどうするか?」という問題がある。危険だから絶対について行かないというやりかたもある。しかし、自分は「世の中の大半は良い人で、一部悪い人もいる」という考えだから、「どこまでついて行っても戻れるか」を常に考えながらついて行く。
・撮影の最後にロンドンで大沢たかおと会い、その後に彼らと別れて、モロッコのマラケシュに向かった。『深夜特急』の旅の際に、会った旅人が口を揃えて「マラケシュはいい!」と言っていたが、その時はポルトガルで旅を終え、マラケシュには行かなかった。
・念願がかない、実際にマラケシュは素晴らしい場所だったが、「20代に来ていたら、全く違っただろう」とも思った。
・モロッコに渡る船の中で知り合った現地人に「マラケシュ行きのバスが(10円程度で)出ている」という話を聞いた。他の旅人は「嘘だからやめろ」と言ったが自分は信じてついて行った。実際に、現地の人たちが乗っている乗り合いバスで、運賃も10円くらいだった。
・知り合った現地人がサハラまで連れて行ってくれ、現地のロッジを探してくれた。砂漠を一人で遠くまで歩いていて迷ってしまった。そこで思い出したのが、「現地人は、犬や猫には名前を付けないが、ラクダと椰子の木には名前を付ける」ということだった。ラクダに名前を付けるのは、ラクダが大切だから。椰子の木に名前を付けるのは、それを見て道を探すため、個体識別する必要があるから。実際、砂漠の高い丘に登って椰子の木を見て、来た方向を推測して元の宿に戻ることができた。
・ロッジにはキャンピングカーでやってきたドイツ人のカップルが泊っているだけだった。男性の方は自分と同じ歳だったが、自分の旅の話をすると大きなため息をついた。「これからでも旅はできるではないか」というと“Too late”と答えた。20代の旅と50代の旅が違うことを彼は分かっていたのだと思う。

・旅に限らず、予測していないことは必ず起こる。それを知って置けば、予測していなことが起きても動揺することはないだろう。

*最後に「深夜特急」の韓国語版に寄せた文章を読んで締めくくり。
  この文章がとてもよかったのですが、フォローできなかったので、割愛させていただきます。

******************************

会場で友人とバッタリ会い、さらに海研の会員の方と合流して、5名で大学近くの韓国料理屋「ママハウス」(http://gourmet.livedoor.com/restaurant/14445/)で遅めの昼食を食べました。
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後で、海研の方が他にも参加されていたことを知りました。
会のメーリングリストで事前にこのイベントの情報を流していたので、当然と言えば当然かもしれませんが……
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