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偉大なる退屈な映画(チェ28歳の革命)

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遅ればせながらの映画のレビューです。
『チェ28歳の革命』http://che.gyao.jp/)。

この作品は、キューバ革命の英雄、チェ・ゲバラがメキシコでカストロと出会い、一緒にキューバ革命を成し遂げるまでをドキュメンタリー風に描いた作品。

戸井十月さんの講演(http://ftravelkaiken.blog17.fc2.com/blog-entry-83.html)で、この映画のエピソードが出てきました。
この作品は、『トラフィック』の撮影の際、出演者のベニチオ・デル・トロが、監督のソダバーグに持ちかけたのがきっかけ。

ところが、当時ソダバーグはゲバラのことをよく知らなかった。
ゲバラのことを知るにつれて興味は持ったものの、同時に、この英雄を作品にすることの難しさも知った。
どういう描き方をしても、誰かから批判されるに違いない。
制作はなかなか実現しなかった。
しかし、大統領がブッシュ変わり、ソダバーグはブッシュ政権のやり方に深い失望を覚えた。
そして、ゲバラを映画にすることを決心した・・・

さて、感想。
何よりも、思った以上に淡々と描かれていたことが意外でした。
「ドキュメンタリータッチ」どころか、「ドキュメンタリーそのもの」といっていいくらいでした。
実写のゲバラがアメリカ帝国主義を批判するシーンは繰り返し映されていますが、ストーリーの進行自体は、価値判断や解釈を交えることなく、事実そのものであるかのように進みます。
「ブッシュ政権への批判」としては、弱いような気もしました。

世の中に淡々とした映画はたくさんあります。
しかし、ゲバラは「20世紀で最もドラマチックな人生を生きた」と言ってもよい人です。
もっと盛り上がる、ドラマチックな演出はできたはずです。

不思議だったは、メキシコからキューバへの密航・上陸、その直後のバチスタ軍の攻撃がほとんど描かれていない点です。
ゲバラが船のデッキで佇んでいるシーンがちょっとだけ出てきますが、そのシーンには違和感がありました。

資金がなかったカストロが購入したのは、8人乗りのおんぼろヨット。
そこに82人もの兵士が乗り込んでメキシコに密航。
船内の環境は環境は劣悪で、上陸する前に革命軍の士気は相当下がっていたといいます。
デッキで佇んでいる余裕などあったのでしょうか?
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さらに、キューバ上陸後にさらに悲惨な運命が待ちうけています。
革命軍は、バチスタ軍の空爆にあい、大半が殺されてしまいます。
残ったのは、たったの12名(16名という説もあります)。

しかし、生き残った中には、フィデルとラウルのカストロ兄弟、チェ・ゲバラ、カミロ・シエンフェゴスという、革命に必要な人材がすべてそろっていた。
まさに「奇跡」といってよいでしょう。

そうはいいつつ、そんな状況に置かれては、10余名で革命が起こせるなどとはとても思えないはず。
そこをカストロが「絶対に革命を成し遂げる」と兵士の士気を高め、本当にバチスタ政権を打ち倒してしまう。

しかし、映画ではそういうところがあまり強調されていない。
バチスタ政権の暴虐ぶりもそれほどは描かれていない。
ストーリーを盛り上げる要素を、あえて避けているようにさえ思えます。

革命が成功して、民衆に歓迎されながら、ハバナ入城を目指すラスト付近はたしかに感動的です。
しかし、もっと盛り上げることは可能だったはず。

映画館はほぼ満員でしたし、実際かなりヒットしたようですが、作品を見るに、大ヒットするたぐいの映画ではないですね。
実際、レビューサイトを見ても、「あまり面白くなかった」という人が少なからずいました。
作品の中では、あまり説明がないので、ストーリや登場人物が良く分からなくなった人も多いし、退屈した人も多いと思います。

しかし、ソダバーグはあえてこのような描き方をしたのだと思います。

オバマ大統領の就任演説が、扇動的でなく、冷静で堅実であったことが評価されました。

現代では「煽り立てる」やり方は、もはや通用しくくなっている。

ソダバーグはそれを直観的に分かっていたのではないでしょうか?

その意味で、このような作品のつくり方は、「現代的」といっていいのかもしれません。

「面白い映画か?」と聞かれると、ちょっと考えてしまいますし、この作品を「名作」と呼んでいいのか正直わかりません。

しかし、これまでのハリウッド映画の定石を破った革新的(「革命的とは言えないまでも)な作品であることは事実だと思います。
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